記事「Excel:VBAマクロを使わないで、グラフに使用するデータを手軽に切り替える方法(2) - 2系列を選択して表示する」では、VBAマクロを使わないで、グラフに使用する2系列のデータを手軽に切り替える方法を紹介しました。
今回はそこに更に一工夫を加え、任意に選んだ3つのデータをグラフに表示できるようにしてみましょう。
なお、データをグラフとして表示しないことも可能です。
画面
グラフ用シート
「管理」シート
データシート1
「1日」シート
データシート2
「2日」シート
:
(データシート3~4は省略)
:
データシート5
「5日」シート
表示するグラフの切り替え操作
表示するグラフの切り替えを行うには、グラフが表示されている「管理」シートのグラフ化するシートを選択するためのセルを選択します。(系列1、もしくは系列2、もしくは系列3)
初期状態
↓
すると、表示できるグラフのシート名がリストとして表示されるので、別のシート(5)を選択します。
リストから 5 を選択。
↓
すぐに元々表示されていた「3日」シートのデータから、「5日」シートのデータに切り替わります。
グラフが「5日」シートのデータに切り替わる
このように非常に手軽に表示するデータの切り替えを行うことができます。
更に、以下のように系列1、系列2、系列3とも変更して、自由にデータを比較することができます。
系列1、系列2、系列3とも変更して、自由にデータを比較することができる
系列に何も選択しないことで、系列の数を減らして、データを比較することもできます。
系列に何も選択しないことで、系列の数を減らして、データを比較することもできる
表示するグラフの切り替えの仕組み
「管理」シートを次のエリアに分けて説明します。
「管理」シート エリア分け
(1) グラフの表示用データ 系列1 エリア
ここに記載されているデータを基に系列1のグラフを作成しています。
このデータは次の数式により、セルI2で選択されたシートのデータを表示するようになっています。
例)セルA2の場合:(他のセルはオートセル機能によって自動でセルの参照が更新されています。)
セルA2の数式:
=INDIRECT(ADDRESS(ROW(A2),COLUMN(A2),1,1,$I$2&$J$2),TRUE)
ADDRESS 関数で、現在の行・列にある別のシート($I$2&$J$2 でシート名を作成)の参照文字列を作り出しています。
その参照文字列をINDIRECT関数に渡し、その参照文字列が指し示すセルの内容を取得しています。
例)セルB1の場合:
グラフの凡例にどのシートのデータを表示しているのか示すために、凡例にシート名(I2&J2)を加えています。
セルB1の数式:
=INDIRECT(ADDRESS(ROW(B1),COLUMN(B1),1,1,$I$2&$J$2),TRUE)&"-"&I2&J2
(2) グラフの表示用データ 系列2 エリア
ここに記載されているデータを基に系列2のグラフを作成しています。
このデータは次の数式により、セルI3で選択されたシートのデータを表示するようになっています。
例)セルC2の場合:(他のセルはオートセル機能によって自動でセルの参照が更新されています。)
セルC2の数式:
=INDIRECT(ADDRESS(ROW(A2),COLUMN(A2),1,1,$I$3&$J$3),TRUE)
ADDRESS 関数で、現在の行・列にある別のシート($I$3&$J$3 でシート名を作成)の参照文字列を作り出しています。
その参照文字列をINDIRECT関数に渡し、その参照文字列が指し示すセルの内容を取得しています。
例)セルD1の場合:
グラフの凡例にどのシートのデータを表示しているのか示すために、凡例にシート名(I3&J3)を加えています。
セルD1の数式:
=INDIRECT(ADDRESS(ROW(B1),COLUMN(B1),1,1,$I$3&$J$3),TRUE)&"-"&I3&J3
(3) グラフの表示用データ 系列3 エリア
ここに記載されているデータを基に系列3のグラフを作成しています。
このデータは次の数式により、セルI4で選択されたシートのデータを表示するようになっています。
例)セルE2の場合:(他のセルはオートセル機能によって自動でセルの参照が更新されています。)
セルE2の数式:
=INDIRECT(ADDRESS(ROW(A2),COLUMN(A2),1,1,$I$4&$J$4),TRUE)
ADDRESS 関数で、現在の行・列にある別のシート($I$4&$J$4 でシート名を作成)の参照文字列を作り出しています。
その参照文字列をINDIRECT関数に渡し、その参照文字列が指し示すセルの内容を取得しています。
例)セルF1の場合:
グラフの凡例にどのシートのデータを表示しているのか示すために、凡例にシート名(I4&J4)を加えています。
セルF1の数式:
=INDIRECT(ADDRESS(ROW(B1),COLUMN(B1),1,1,$I$4&$J$4),TRUE)&"-"&I4&J4
(4) グラフ化するシート選択 エリア
セルI2, I3, I4にはデータの入力規則を設定し、その下にあるデータ範囲のセルの内容をリストとして表示し、そこから値を選択できるようになっています。
データの入力規則を設定し、リストから値を選べるようにする
以上の設定で、ユーザが選んだシートのグラフを動的に表示できるようになっています。
VBAマクロなどを使用せず、Excel の標準的な機能で動的なグラフの変更を実現できるため、非常に手軽です。
サンプルファイルのダウンロード
excel_sample_graph_change_list_3item_ver1_0_0_public.xlsx (23.0 KB (23,614 バイト))
まとめ
リストから3系列分のデータを選択して、グラフのデータを動的に切り替える方法をご紹介しました。
今回ご紹介した Excel のテクニックを用いれば、データをグラフで比較する場合など、比較したいデータを任意に選んで比較できるので、作業の効率化につながると思います。
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